【2008年10月23日(木)付】

赤組の先駆けがハナミズキなら、黄組はユリノキだろうか。街路樹の色づきである。住まい近くの「ユリの木公園」でも、金茶の葉を宿した木々が増えてきた。ユリの木と書いてみて、カタカナ、ひらがな、漢字が並ぶ珍名に気づく▼名前より不思議なのが、シャツのような葉の形だ。半纏木(はんてんぼく)という別名の通り、職人さんが着るはんてんを思い浮かべてもらえばいい。やっこ凧(だこ)や軍配にも似るオンリーワンの愉快な姿に、自然の妙技を見る▼「葉(よう)画家」の群馬直美さんは、著書『街路樹・葉っぱの詩(うた)』で、秋風と遊ぶ迎賓館前のユリノキ並木をこう活写した。〈ざざざー。シャララー。ぞぞぞー。葉っぱたちが高い梢(こずえ)で手を振り、拍手しながら、いろんな陽(ひ)だまりの人たちを一所懸命に歓迎している〉▼ユリノキは北米原産で、日本には明治初期に渡来した。新宿御苑では樹齢130年を超す第一世代が、元気に葉を茂らせている。どれも、幹回り3メートルはあろうか。御苑のシンボルでもある巨木たちは、日本中のユリノキの母樹だという▼中でも芝生の広場に寄せ植えされた3本は、根や枝が絡み合い、異形の生命体を思わせる。どの入園者より長生きの三つ子。見上げれば、迷彩柄の「シャツ」はまだちらほらだ。突き抜ける空の下で、緑の大群が「慌てなさんな。ざざざー」と手を振っていた▼きょうは節気の「霜降(そうこう)」にあたる。虫が黙り、北国からは初霜の便りが続く時期。ひと雨、ひと風ごとに秋色は深みを増す。赤組と黄組が抜きつ抜かれつ、山から里へと転げ落ちてくる。

【天声人語2008年10月23日 霜降时节】

赤組の先駆けがハナミズキなら、黄組はユリノキだろうか。街路樹の色づきである。住まい近くの「ユリの木公園」でも、金茶の葉を宿した木々が増えてきた。ユリの木と書いてみて、カタカナ、ひらがな、漢字が並ぶ珍名に気づく
如果说红色这组的先驱者是紫荆的话,那么黄色这组就应该是美国鹅掌楸了吧。道路两旁的树木都被染上了颜色。在住所附近的【ユリの木公園】中里面,金褐色的树叶爬上枝头的树木也增加了。试着去写【ユリの木】,意识到到片假名,平假名,汉字都是一样的少见的名字。
名前より不思議なのが、シャツのような葉の形だ。半纏木(はんてんぼく)という別名の通り、職人さんが着るはんてんを思い浮かべてもらえばいい。やっこ凧(だこ)や軍配にも似るオンリーワンの愉快な姿に、自然の妙技を見る
比名字更不可思议的是,像衬衫一样的叶子的形状。正如半缠木一样的别名一样,能联想到上班族穿着的短上衣真是太棒了。在像风筝和指挥一样只有一人的快活姿态中,看到了大自然的奇妙。
「葉(よう)画家」の群馬直美さんは、著書『街路樹・葉っぱの詩(うた)』で、秋風と遊ぶ迎賓館前のユリノキ並木をこう活写した。〈ざざざー。シャララー。ぞぞぞー。葉っぱたちが高い梢(こずえ)で手を振り、拍手しながら、いろんな陽(ひ)だまりの人たちを一所懸命に歓迎している〉
作为【叶子画家】的群马直美在著作【街边树・叶的诗歌】中,把在秋风中去游玩的迎宾馆前排列的美国鹅掌楸如此的生动描绘下来。【咋咋咋。。。呼拉拉。。。嗖嗖嗖。。。叶儿们在高高的枝头挥着手,拍着手,像是再努力的欢迎着许多在太阳下的人们】
ユリノキは北米原産で、日本には明治初期に渡来した。新宿御苑では樹齢130年を超す第一世代が、元気に葉を茂らせている。どれも、幹回り3メートルはあろうか。御苑のシンボルでもある巨木たちは、日本中のユリノキの母樹だという
美国鹅掌楸原产美国,在明治初期传到日本来。在新宿御苑里面超过130年树龄的是第一代,仍旧枝繁叶茂。任何一棵,树粗都有3米吧。作为御苑的标识的苍天大树,被称作是日本的美国鹅掌楸鼻祖。
中でも芝生の広場に寄せ植えされた3本は、根や枝が絡み合い、異形の生命体を思わせる。どの入園者より長生きの三つ子。見上げれば、迷彩柄の「シャツ」はまだちらほらだ。突き抜ける空の下で、緑の大群が「慌てなさんな。ざざざー」と手を振っていた
新宿御苑的草地广场中种在一起的3棵,枝叶互相缠绕在一起,让人想到异形的生命。比任何一个入园者都更长寿的3棵树。往上看,迷彩服样子的【衬衫】仍然星星点点。在穿透天空的树下,大群绿色的也在在摇着手说【不要慌啊。。。咋咋咋】
きょうは節気の「霜降(そうこう)」にあたる。虫が黙り、北国からは初霜の便りが続く時期。ひと雨、ひと風ごとに秋色は深みを増す。赤組と黄組が抜きつ抜かれつ、山から里へと転げ落ちてくる。
今天是24节气的【霜降】。虫儿们也不叫了,到了从北方持续传来第一次下霜的消息的时期了。一阵风,一阵雨秋意越来越浓了。红色组和黄色组势均力敌,从山里到家乡开始落了下来