【2008年11月23日(日)付】

出会うたび、別れるごとに人生は彩りを増し、一期一会の重なる先に次の幸せが待つ。そうした「平凡」を断ち切る凶悪犯罪の中でも、理不尽さ、もどかしさの極みは北朝鮮による拉致事件だろう▼横田めぐみさんの写真展が有楽町マリオンで開かれている(無料、26日まで)。3年前にこの地で開かれて以来、国内やニューヨーク、ジュネーブを巡回し、計23万人の来場者が国家犯罪への怒りを新たにした▼ご両親の講演を聴いた中学1年生の感想文も展示されている。「平凡がどれだけ幸せなことか考えながら、生きていこうと思いました」という一文があった。拉致時のめぐみさんと同じ13歳の多くが、「普通の日々」のありがたさに触れている▼そしてもう一つ、娘を救うため31年闘ってきた老夫婦への敬意である。わが子を案じる心の強さ、激しさに驚き、親に感謝し直した生徒も多い。横田ご夫妻の活動は、現実の「世直し」でもあると知った▼卒業でも転居でも、親しい人との別れに心は震える。無理にも「元気でね」と笑えるのは、また会えると信じているからだ。だからこそ死別の悲しみは深いが、よくしたもので時が癒やすこともある。一番つらいのは生き別れではないか▼鹿児島の拉致被害者、市川修一さんの母上が先ごろ91歳で亡くなった。息子のスーツを虫干しして待ち続けたという。横田早紀江さんは「親としてこれ以上はできなかったというところまでやり、悔いのないように生きる」と語る。隣国の母に血の言葉を吐かせ、独裁者はまだそこにいる。

【天声人語2008年11月23日 朝鲜绑架事件照片展开幕】

▼出会うたび、別れるごとに人生は彩りを増し、一期一会の重なる先に次の幸せが待つ。そうした「平凡」を断ち切る凶悪犯罪の中でも、理不尽さ、もどかしさの極みは北朝鮮による拉致事件だろう
每个相遇,分离都会给人生增光添彩,而人们在一生只有一次的机会重复出现前总会期待着接踵而至的幸福。而所有将这种“平凡”无情切断的恶性犯罪中,将无理和厌烦发挥到了极致的也就非朝鲜的绑架事件莫数了吧。
(1)〔切りはなす〕截断jiéduàn,割断gēduàn,切开qiēkāi,切断qiēduàn.
電線を断ち切る/切断电线.
紙をふたつに断ち切る/把纸裁成两半.
(2)〔途絶する〕断绝duànjué.
連絡を断ち切る/断绝联系.
ふたりの関係を断ち切る/断绝两人的关系.
未練を断ち切る/不再留恋liúliàn;一刀两断.
(3)〔遮断する〕截断jiéduàn.
補給路を断ち切る/截断给养线
不说理bù shuōlǐ,不讲理jiǎnglǐ.
理不尽な事をする/做不讲理的事.
理不尽に人をなぐる/不讲理地打人.
(慢得)令人着急lìng rén zháojí;令人不耐烦bù nàifán;急不可待jí bù kě dài『成』.
もどかしい仕事ぶり/看着令人着急的工作的样子.
時間が経つのももどかしい/感到时间也过得太慢.
夫を待つ身のもどかしさ/望夫之身的焦燥.
ドアを開けるのももどかしげに入っていった/进去时连开门都显得(有点)不耐烦.

▼横田めぐみさんの写真展が有楽町マリオンで開かれている(無料、26日まで)。3年前にこの地で開かれて以来、国内やニューヨーク、ジュネーブを巡回し、計23万人の来場者が国家犯罪への怒りを新たにした
横田惠小姐的照片展在有楽町Marion大厦开幕了(免费,截止至26日)。自从三年前在此地举办以来,先后在国内,纽约,日内瓦巡回展出,约有23万来宾观展后对国家犯罪产生了新的愤怒。
▼ご両親の講演を聴いた中学1年生の感想文も展示されている。「平凡がどれだけ幸せなことか考えながら、生きていこうと思いました」という一文があった。拉致時のめぐみさんと同じ13歳の多くが、「普通の日々」のありがたさに触れている
这里也展示了在一篇听过父母演讲后的中学一年级学生写的观后感。其中有一篇这样写道“只要想到拥有平凡是如此的幸福,我就觉得应该好好的活下去。”很多与当时被绑架的横田惠一样今年只有十三岁的孩子们,都因此庆幸于自己拥有这样平凡的生活。
▼そしてもう一つ、娘を救うため31年闘ってきた老夫婦への敬意である。わが子を案じる心の強さ、激しさに驚き、親に感謝し直した生徒も多い。横田ご夫妻の活動は、現実の「世直し」でもあると知った
另外一个是向为了救出女儿奋斗了31年的老夫妇表达敬意。我们惊讶于他们虽担心自己子女却表现出一种坚强和强烈,也有很多学生因为看到他们的事迹后开始对父母心存感激了。横田夫妻的这一展览,让很多人知道了应该如何“改造世界”.
社会的改造shèhuì de gǎizào,改革gǎigé社会.
世直しを訴える/呼吁hūyù改革社会.

▼卒業でも転居でも、親しい人との別れに心は震える。無理にも「元気でね」と笑えるのは、また会えると信じているからだ。だからこそ死別の悲しみは深いが、よくしたもので時が癒やすこともある。一番つらいのは生き別れではないか
无论毕业还是搬迁,每当与亲人分别时人们的内心都会颤抖。但即便认为自己无法做到也要笑着说“注意身体”,这是因为他们都坚信还有再会的那一天。因此这种生离死别切肤之痛,只有靠时间的流逝来愈合。人生最痛苦的莫过于生离死别,不是吗?
▼ 鹿児島の拉致被害者、市川修一さんの母上が先ごろ91歳で亡くなった。息子のスーツを虫干しして待ち続けたという。横田早紀江さんは「親としてこれ以上はできなかったというところまでやり、悔いのないように生きる」と語る。隣国の母に血の言葉を吐かせ、独裁者はまだそこにいる。
出身鹿儿岛,在朝鲜被绑架的市川修一的母亲于近日逝世,享年91岁。据说在她生前每天都晒着儿子的衣服期待他早日归来。横田早纪江说“身为父母,只能将能做的事都作了,毫无遗憾的生活下去”。邻国的母亲已吐出了充满鲜血的肺腑之言,而独裁者仍冷酷无情的矗立在那里。
虫干し晾晒liàngshài衣服yīfu、书籍shūjí等.
解说:拉致被害者・横田 めぐみさんの父・滋さんが撮影しためぐみさんの写真展が、21日から東京・有楽町で開かれている。
滋さんは「休みが続きますから、大勢の方がお見えになることを期待しています」と話し、早紀江さんは「たくさんの方がこうやって応援して、手伝ってくださってくれることをありがたく思っています」と話した。
写真展では、めぐみさんが生まれてから拉致されるまでの間、滋さんが家族とともに撮りためた写真など、あわせて95点が展示されている。
また今回は、「13歳の感想文」と称して、め