【2008年11月28日(金)付】
古代インドに『鸚鵡(おうむ)七十話』という説話集がある。仕事で長旅に出る商人が、家に残す愛妻のことを賢いオウムに託していく。だが彼女はある王子に誘惑される▼するとオウムは、謎めいた物語を連夜巧みに語って彼女を引き留める。かくして七十夜が過ぎ、妻は何事もなく夫の帰宅を迎える。そんな本を繰りながら、ことは違うがムンバイで起きた無差別テロを思った。テロリストを止める賢いオウムはいなかったのか▼爆発や乱射は、ホテルや駅などの各所で起きた。市街戦を思わせる映像が現地から届く。100人以上が犠牲になり、日本人も2人死傷した。出張中に亡くなった津田尚志さん(38)はロビーで胸や腹を銃撃されたという。痛ましさに胸がふさぐ▼犯行声明を出した組織の実態はよく分かっていない。テロの目立つインドだが、外国人の多い高級ホテルを狙い、英米人を人質に取ろうとしたのは異例らしい。「欧米支配への聖戦」を唱える国際テロ組織、あのアルカイダと関係があるのだろうか▼インドといえば、非暴力をつらぬいた独立の父ガンジーが思い浮かぶ。綿を紡ぐ糸車を回して支配や搾取に抗する姿を、写真でご記憶の方もおられよう。運動の象徴になった糸車の操り方をガンジーが覚えたのは、ムンバイだったと言われている▼今や経済発展のめざましいインドだが、その陰にテロを生む温床が息づいているようだ。背景は宗教か、それとも貧困なのか。テロを許さぬ固い決意とともに、国際社会が「賢いオウム」になるしかないとの思いが募る。
【天声人語2008年11月28日 孟买的神奇鹦鹉在何方】
▼古代インドに『鸚鵡(おうむ)七十話』という説話集がある。仕事で長旅に出る商人が、家に残す愛妻のことを賢いオウムに託していく。だが彼女はある王子に誘惑される
[b]古印度著有一本语录,名为《鹦鹉70句》。其中讲述了一个为赚钱而长期外出的商人,将爱妻拜托给聪明的鹦鹉照顾。但这位妻子却迷上了一个王子。[/b]
▼するとオウムは、謎めいた物語を連夜巧みに語って彼女を引き留める。かくして七十夜が過ぎ、妻は何事もなく夫の帰宅を迎える。そんな本を繰りながら、ことは違うがムンバイで起きた無差別テロを思った。テロリストを止める賢いオウムはいなかったのか
于是这只鹦鹉就每天日夜不停的给她讲一些充满迷幻色彩的故事挽留他。就这样度过了70个日夜,这位妻子最终顺利地迎来了自己的丈夫。虽然事件不同,不过我翻看这本书的同时,不禁想起了孟买近日发生的无目标恐怖袭击事件。能够阻止恐怖来袭的那只聪明的鹦鹉难道已经不在了吗?
如斯rúsī『書』,这样(一来)zhèyàng (yīlái).
かくして侵略戦争はついに失敗した/就这样,侵略qīnlüè战争终于失败了.
かくしてその翌日,次のようなことが起こった/于是第二天,就发生了如下的事情.
(1)〔たぐる〕陆续抽出lùxù chōuchū;缫sāo,缠绕chánrào.
糸を繰る/缫丝; 抽丝; 缠线.
(2)〔綿を〕(用轧棉机)轧yà.
綿を繰る/轧棉花.
(3)〔順におくる〕依次拉出yīcì lāchū.
雨戸を繰る/拉出防雨拉门.
(4)〔数える〕依次数shǔ,依次计算jìsuàn.
日数を繰る/计算天数.
(5)〔めくる〕依次翻fān.
絵本を繰る/翻小人儿书.
暦を繰る/翻日历.
▼爆発や乱射は、ホテルや駅などの各所で起きた。市街戦を思わせる映像が現地から届く。100人以上が犠牲になり、日本人も2人死傷した。出張中に亡くなった津田尚志さん(38)はロビーで胸や腹を銃撃されたという。痛ましさに胸がふさぐ
爆炸和扫射的情景,出现在各个旅馆和车站。类似巷战的景象已随处可见。死伤人数超过百人,其中还包括两名日本人。出差时意外死亡的津田尚志(38岁)据说在旅馆的大厅内被击中了胸腹部。我们听后心痛不已。
▼犯行声明を出した組織の実態はよく分かっていない。テロの目立つインドだが、外国人の多い高級ホテルを狙い、英米人を人質に取ろうとしたのは異例らしい。「欧米支配への聖戦」を唱える国際テロ組織、あのアルカイダと関係があるのだろうか
声称要对犯罪负责的秘密组织究竟是何许人也尚未可知。虽说印度是恐怖多发地区,但是专门瞄准外国人集中的高级宾馆,把英国美国人作为人质的案例实属罕见。高喊着“这是支配整个欧美的圣战”的国际恐怖组织,究竟和之前的基地组织有没有内在关系呢?
▼インドといえば、非暴力をつらぬいた独立の父ガンジーが思い浮かぶ。綿を紡ぐ糸車を回して支配や搾取に抗する姿を、写真でご記憶の方もおられよう。運動の象徴になった糸車の操り方をガンジーが覚えたのは、ムンバイだったと言われている
提到印度,我脑中浮现出了始终贯彻非暴力思想的独立之父—甘地。照片中他那用旋转纺织机纺纱的方式抗议支配和榨取的身影,还留在了我们记忆深处吧。甘地曾说过,真正令他意识到纺织已成为劳动相争的正是孟买这个地方。
▼今や経済発展のめざましいインドだが、その陰にテロを生む温床が息づいているようだ。背景は宗教か、それとも貧困なのか。テロを許さぬ固い決意とともに、国際社会が「賢いオウム」になるしかないとの思いが募る。
虽然印度如今经济发展显著,但国内的阴暗处似乎孕育恐怖事件的温床正在进一步吸收着养分。恐怖袭击的大背景究竟是宗教还是贫困?国际社会在决意坚决制止恐怖活动的同时,应该多想想应该如何成为那支“聪明的鹦鹉”。
(1)〔激しくなる〕越来越厉害yuè lái yuè lìhai.
風が吹き募る/风越刮越大.
離れれば離れるほど恋しさが募る/离开得越远,恋慕liànmù就越强烈.
連絡がとだえ不安が募る/联系中断后越来越担心.
(2)〔募集する〕招zhāo,招募zhāomù,募mù;[たずねて集める]征求zhēngqiú,征集zhēngjí;[広範に]募集mùjí.
寄付を募る/募捐juān.
志願者を募る/招募志愿者.
懸賞文を募る/悬赏征文.
同志を募る/征求志同道合者.
解说:モハンダス・カラムチャンド・ガンディー(Mohandas Karamchand / 1869年10月2日 - 1948年1月30日)は、インドのグジャラート出身、マハトマ・ガンディー(=マハートマー・ガーンディー:Mahatma Gandhi)として知られるインド独立の父、宗教家、政治指導者。「マハートマー(महात्मा, Mahatma)」とは「偉大なる魂」という意味で、インドの詩聖タゴールから贈られたとされているガンディーの尊称である(自治連盟の創設者、アニー・ベザントが最初に言い出したとの説もある)。また、インドでは<
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